「自転車」

written by 星粒


雹の降る夕暮れに
仲間はずれの子供の様に
錆びた自転車が佇んでいる。
傾いた車体を誰も起こしてはくれない。
籠には落ち葉が眠っていたが
その内いずこへか去って行った。

乗り捨てたひとの温もりは
足早な季節の襲来に
自転車の内側から剥がれてゆき
或いは老朽化したとそっぽを向かれる
銀白色の髪をしたひとのように
ひっそりと佇んでいる。
つれあいを失い
鳥の羽ばたきに目を細める
やさしく寂しい
老いたひとのように
今日も自転車は
佇んだまま




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