「空と花と絵描きとその友と」

written by 皐月絵夢


静かな小さい家の中
色とりどりの絵の具を用意し
彼はキャンバスに向かっている
やがて彼は絵筆を進め
黒と白で雨雲を
青色で雨を描き上げた
訪ねてきた友人は
傘を畳みながら彼に問う
「今日はどうしてこうしたのかね?」
彼は静かに こう返す
「花に水をやろうかと」

後日彼はキャンバスに向かい
水色の絵の具で青空と
赤から始まる七色で
空に橋を描き上げた

満足そうに頷くと
彼はその橋を登っていった

彼を訪ねた友人は
露に光る花に問う
「彼は何処まで行ったのだろう」
花は笑って こう返す
「彼は絵の具を探しに」と




feelings of master

紫陽花の頃
そっとタンスからとりだす
梅雨晴れの陽気を織り込んだ木綿のハンカチ

自らの力はほんのかすかなものでも
大いなる力に敬意を持つなら
それとつながるかけはしとなり
だれかへの一助となることができる

友の涙を心に受け止め
そっと差し出す一枚の布
傍目には無力なのに
とてもあたたかな存在

意味ないよと
言いたげな喉のささくれに
染みとおるのど飴のように
今はただやさしく

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