「紫陽花」

written by 星粒


あなたは白い紫陽花が好きだと語ったから
いつしか花の好みまで変わった。

紫陽花の部屋の中には
幾粒もの小花の精たちがひしめきあって
さざめいて 温もって 雨に揺られたりしている。

紫陽花はいじらしい花なのだった。
何気なく歩く歩道の隅に
控えめに花房を俯かせ
とても小さな虫や草や木のみと
夜が深まるまで 悲しみをわけあっている。

生まれた地上の
其処かしこに舞えない花
紫陽花は 鳥だったら良かったかともかんがえた。
でも紫陽花のかたちを誰もがやさしいと告げるから
紫陽花は 紫陽花でよかったとも思っている

わたしはそんな風に自分とよく似ているし
あなたにも似ている風な紫陽花が とても好き




feelings of master

何かいいよね
何がって言葉にできるわけじゃないけど
あなたと
わたし

自分たちが
歩いて行く先に
不安をやっきになって並べ立てず

雨にぬれた体をとりあえず拭いて
着なじんだ服に着替えたときのあたたかさのような
ほっとする感じ

他人や世間をうらやましがったり
逆にうらやましがられたり
そんなやり方や姿を求めないで

小さなテーブルの上に
ささやかな
それでも
どこにも売っていない
いとおしい
思い出のような
小さく やわらかなケーキをのせて
ふたりでつついて
微笑みあうような
わたしたちのたたずまい

戻る