自己紹介のようなもの 

  私のことを少しお話します。
 
  まず私が何者なのかについて。
  私は里親ではありません、里子でもありません、その家族でもありません。
  里親制度の枠組みで言えば、「ただの人」です。

  そんな「ただの人」がなぜこのようなサイトを立ち上げたのか、それについ
 て続けてお話させていただきたいと思います。


  私が里親制度を知ったとき、里親とは「特別なもの」でした。
  特別とは「あたりまえにそばにある」のではないという意味あいです。
  私にとってまったく未知の里親制度というものは、どこか遠い、自分とは違
 う世界にあるもののような存在でした。

  しかし、自分には何の責任もないのに家を離れざるをえない状態におかれた
 大勢の子どもたちに出会い、その子どもたちを育てている里親さんの人柄にふ
 れてみるとその印象は大きく変わりました。

  里親さんの子どもにかかわる真摯な姿勢と深い愛情、それにより育まれた
 強く温かい心の絆、苦労の連続だったと思われる奮闘の日々すらもいとおしい
 ものと微笑みながら話をしてくださる様子に深く感じ入るものがありました。
  そこについ最近になってしみじみ感じた「自分が親にしっかりと育ててもらっ
 たことのありがたさ」が重なり、「これは確かに大変だけど、真っ当な大人が
 子どもを育てるうえではある意味あたりまえの姿じゃないか」と気付いたのです。
  言うなれば「あたりまえな」里親さんの姿を、私の意識の中で勝手に「特別
 なもの」にしてしまっていたことに気付いたのです。

  そして、そんな人が地域の中にごくあたりまえに生活されているということ
 を知ってとても心強い気持ちになり、その「あたりまえにそばにある」ことが、
 里親制度が発展することによって、もっともっとあたりまえになっていけばど
 んなにいいだろうかと思ったのです。

  じゃあ、自分に何ができるだろうと考えたとき、「だたの人」である自分に
 里親さんと里子さんの間の絆づくりのことにまで入り込むことはできないと思
 いました。
  けれど、以前の私のような「知識不足による周囲の無理解」によって里親さ
 んや里子さんにかかる余計な苦労の解消については、少しはできることがある
 はすだと思ったのです。
  例えば、里親制度を知ることによって、里親さんになってくれる方がもっと
 増えてくれたら…と考え、その人たちの気持ちをそっと後押しをしたいと思い、
 このサイトを立ち上げたのです。


  でも、人それぞれに事情があり、得手不得手もあります。全ての人が里親に
 なれるわけではありませんし、それを求めるつもりもありません。
  とある里親さんは「子どもが好きだからやっているの」「あたりまえのこと
 をしているだけよ」「私が子どもたちに幸せにしてもらってるの」とおっしゃ
 いますがやはり私などからみれば、たいへん素晴らしく、それだけの人間的な
 器の大きさをお持ちだからできることだと思うのです。

  私自身、いろいろな事情から「里親になることは難しいな」と思います。
  でも、自分の得意なこと、無理のない範囲でできることをしつつ
 「あたりまえ」に里親制度がそばにあることを理解し、
 「あたりまえ」に里親制度に接し、
 「あたりまえ」にそっと支えていく、
  言うなれば、昔の地域のご近所さん、おとなりさんの一人のような存在にな
 れたらと思うのです。

  そして、このサイトが小さなきっかけとなって、ひとりでも多くの人「ただ
 の人」に里親制度の正しい理解をしてもらい、さらには里親制度を陰で支える
 「里親さんのおとなりさん」に(その方の思いと条件がそろえば里親さんにまで)
 なってもらえたらいいなと思うのです。
  そんな人がたくさんいる世界はきっと、里親さんにも里子さんにも、ただの人
 にも優しい、温かな世界だと思うのです。

  いろいろとまわりくどいこと、理屈っぽいことをを言ったと思いますが、
 結局のところ、一番単純な動機は「私がそんな温かな世界に住みたいから」
 なんだと思います。

  長々としたつぶやきに最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。

                            管理人:渡部九朗






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