里親・里親制度とは


 今の日本では里親について世間で「よく知られている」とは言いがたいのが現状です。
 里親のことについて聞きたいときにどこに行けばよいのかもあまり知られていないと
思います。「なんとなく聞いたことはあるけど、誰かに説明するとなるとちょっと難しい…」
そんな方が多いのではないでしょうか。
 「里親・里親制度」に出合って一番最初にぶつかりがちな疑問について、管理人の解釈
で答えてみたいと思います。


【里親制度・里親って何?】

 なんらかの事情により、家庭で生活することのできない子どもたちがいます。(※1)  その一方で子どもへの愛情と子育てへの熱意を持ち、子どもたちと一緒に暮らしていきたいと願っている人たちがいます。
 そんな両者の間を取り持ち、家族という形で一緒に生活していく手助けをするのが児童福祉法に基づく里親制度です。(※2)
 里親制度によって子どもたちを受け入れる側の大人を「里親」といい、里親さんのところで暮らす子どもたちを「里子」といいます(法律の定めによらず、子どもたちを預かって育てている方もいらっしゃいますが、その方々を里親とはいいません)。

【どうして里親という制度があるの?(里親制度の意義)】

 上で述べた家庭で生活することのできない子どもたちの9割以上は乳児院や児童養護施設(世間では「施設」と呼ばれていることが多いです)で生活しています。施設には施設の役割・長所があり、施設での集団生活を必要とする子どもたちも多くいます。
 しかし、長期的に施設での生活を続けることが必ずしもよいわけではなく、大勢の子どもと大勢の施設職員での生活という「家庭」とは異なる形態の生活であるがゆえの様々な問題も生じています。
 里親制度によって里親さんのところで生活をすることにより、一般の家庭(家族と言ってもいいでしょう)と同じ生活環境、親子という人間関係のつながりなどを子どもたちに保障することができます。
 子どもたちにとって、施設での集団生活では難しい、安心できる自分だけの居場所を確保できること、通常の地域における社会経験を積めること、将来の自分の家庭を作っていく際のモデルを示せることも里親制度の持つ利点です。
 それから、これは法律などに書かれているわけではありませんが、どんな人にとっても里親制度は「自分や家族に何か思いがけないことが起きたとき」にきっと頼りになる、頼りにしたくなる制度だと思うのです。私達の社会の中に安心を生む制度、それが里親制度だと私は考えます。

【里親になるにはどうしたらいいの?】

 里親になるには里親としての認定を受けなければなりません。
 まずは自分の住んでいる地域を担当する児童相談所を窓口として、都道府県知事(児童相談所を独自に設置している市の場合は市長)に里親の認定を申し込みます。
 その後、面接や家庭訪問などの調査を経て、里親として適当と判断されれば里親としての認定が受けられます。

【里親は具体的にどんなことをするの?(里親の種類について)】

 一言でいえば「自分の家庭で、預かった子どもを育てる」ということになりますが、細かく分類すると以下のように分けられます。

<養育里親>
親族でない児童の養育を行う里親(従来の短期里親的養育<数日から1年以内程度の期間を限定した養育>も含む)。養育里親研修の受講が必要です。
<専門里親>
養育里親のうち、被虐待などの経験があったり、非行等の問題、障害のある児童など特に密接な家庭的援助を必要とする子どもを育てる里親。里子養育の経験か児童福祉事業従事経験、それに加え専門の研修の受講が必要です。
<親族里親>
預かる子どもの三親等内の親族(祖父母やおじおばなど)で里親の認定を受けた者。(※3)
<養子縁組によって養親となることを希望する里親>
養子縁組によって養親となることを希望する者で里親の認定を受けた者。




※1:厚生労働省の統計では日本全国で4万人以上にのぼります。
※2:動物などの里親のことも同じ「里親」という表現が使われていますが、このサイトでは「人間の」里親制度について述べています。
※3:親族里親にならずに子どもたちを養育している親族の方もいらっしゃいます(どちらかと言えば、里親になるのは少数派といえます)。





<戻る>