ROOM101



                     「過去を聴く人」
                     
                     何かを耳に詰め込む人々
                     今
                     よりも
                     確実に過去にある
                     その響きで
                     今に耳を塞ぐのは
                     時間の隙間を埋める賢さの象徴か
                     時間の隙間を見逃す愚かさの象徴か
                     そんな声すらも届かない




「僕を待ちながら」

ずいぶん遠くへきたものだと
思って振りかえってみたとき
一歩も自分から外へ出ていないことに気付く

求めるものはここにあり
見失ったものもここにある
必要なものもここにあり
大事なものもここにある

大丈夫
僕はどこへも行かない
僕を置いてはどこへも行けない

だから さあ 行こう




                     「弱さを重ねて強くなる」
                     
                     「強くなる」という言葉
                     自分の人生のそれぞれの場面で
                     その意味するところを変えてきたように思う
                     
                     鋼鉄ような頑強さ
                     何にも動じず世界を遮断するような冷静さ
                     それらを積み重ねれば
                     強く 強くなれると思っていた
                     
                     けれど
                     そんなものは
                     ひどくもろく崩れ去るものだと
                     いともたやすく剥がれ落ちるものだと知った
                     
                     自分の小ささ 卑怯さ 弱さ
                     それを認めたくないから
                     それを何か補うために強さを求めていたから
                     自分に強さなど残らなかった
                     
                     けれど
                     僕はまた ひとつづつ積み上げようとしている
                     今度は目をそらしていた 弱さ を見つめて
                     
                     その確かな 弱さ を土台にすれば
                     薄皮を重ねるような速度だけれど
                     きっと堅く 強く なるだろうから 








「ホコリは舞い続ける」

おびえ ふるえ しずみ うちひしがれ

己を 小さき 弱き 力なきものと見限るとき

ふと 怒りが湧く
大きく 強く 権威あるものが 何だというのだ
こんなちっぽけな己を
傍若無人な排気ガスを吐き出して蹂躙する
そんな奴らにつぶされてたまるか と

巨人の拳は
1かけらのホコリをつぶすには
大きすぎるのだ

ひらりひらりとかわすまでもなく
ただ あるがままに 流れのままに
舞い続けるのさ

                     「地の底の言葉」                                               事実なんてない                       十人十色の感じ方があるだけ                                              ストレスを開放するために                       やすやすとひとの言葉にのっかって                       おびえた目をした羊をいたぶる                                              切られた心のすぐそばには                       切った心があるんだぞ                       切った心は忘れても                       切られた心は眠れない                                                                     誰もいない地の底の                       井戸端会議なら構わないと思うのか                       土壌汚染は                       地上の全てをおびやかすのに 「風を見ること 歩き出すこと」 背伸びした自分じゃなくて 誰かに見られる自分じゃなくて 誰かに聞いたような自分じゃなくて 今ここにいる 自分を見つめよう 甘えを許すんじゃない ずるさを見逃すんじゃない 自分にすら切り捨てられようとしていた ぎりぎりの叫びをを受け止めてあげることは 自分にしかできないから 必死になるから視野は狭まる 限界超えて頑張るから逃げる力もなくなる 自分を厳しく見るから自分を見限ってしまう 行き止まりにたどり着くために歩いてきたんじゃない もっと遠くへ行くために 次の一歩を踏み出すために 僕の身体はここにあるんだ 力を抜いて 感じることを思い出そう あの日に吹いてた風の行方を 見つめていたまなざしを                       「今 終わったら」                         ぼくが最後に書いた言葉はこの言葉                        ぼくが最後に考えたことはこんなこと                                                それを誰も知る由もない                        評価もなにもされやしない                        されたところで知りえない                        だから何の問題もない                                                だけど                                                もう少しどうにかしようはあったんじゃないか                        どうにかなるんじゃないかと思う今                        まだ終わるときじゃないのかもと思う今                                                 「正解は自分で作る」 問いに無力な自分を省みれば 語るべきことを持たない自分がいた 安全地帯を失って より深くへとただ落ちていく自分がいた 日々を経て それは自分がからっぽだったのではなく 語るべきことがあっても それが価値のあることだということを証明するには あまりに幼く あまりに背伸びをしていたのだと理解した 今も 幼く拙いこの身だけれど 自分の言葉と その跳ね返りを全て引き受けるだけの 腰の据わりはできつつある だから 正解かどうかはもういい 正解が出るまで いくらでも手を挙げよう 間違いとわかったら いくらでも受け入れよう 言葉の価値は 自分で作る そして正解は きっとまだみたことのない形をしているんだ                        「いつかの自分へ預けておこう」                                                どんな自分であろうとも自分から切り離せはしないから                        少し怖いけどじっとその顔をみつめてみよう                        今はまだ受け入れられなくても                        大事に 捨てないで                                                その至らなさも未熟さも                        いつか わかってあげられると思うから                        いつか もう少し落ち着いたなら                        受け入れてあげられない今の自分も                        いつか きっと 「渇きの中で」 自分にとって本当と感じられないものは どんなに世界にあふれていても 何の重みもない 一握の砂のようなもの そればかりか 隙間をうめようと 未練がましくすくった砂が 両の手のひらをすり抜けるたびに 音のない風とともに 世界が砂と化し飛び去ってゆく 砂にすがらず 気付いてくれ 砂をつかもうとする 君という現実に 「ただいま」 自分を思い出して 自分に帰ってきた 苦しんで 苦しんで ほっと落ち着いたときの かるい笑顔 かるい幸せ こだわりから自由になった それが自然な状態 またここへ帰ってこれた 振り返ってみれば あのころよりも 落ち着いた自分がいる あのころよりも そのままの自分に自信を持った自分がいる 自分じゃわからないこと 自分にしかわからないこと それに気付けたのは この苦しみがあったから 何が幸福で何が不幸じゃなくて 人生の振り返りのタイミング これってかなり大事な瞬間だよね きっと まだまだ 自分を好きになれる きっと もっと 誰かを大切にできる またここで会おう 未来の自分が 大きな苦しみに出会う自分が 楽しみだ 「心の再生」 うまくいったと思っても がりっと心削られること よくあることさ 心はいつも不変じゃない ふくらみ しぼみ くだけて もどる ほんの1回 満たされた感じを 心で覚えれば 丸くて 大きな 強い心が また息づくよ 「カッコをつけるな」 自分の中のある部分にだけ目をとられて ちっちゃいちっちゃい自分って枠をつくってはめて これが自分って言ってるけどさ そんな自分で満足かい そんな枠がなくたって自分は自分 今のあんたは意思のかけらもないただの記号 本のカバーの折り返しに張り付いた 作者紹介の写真と短いプロフィール そんなの必死に読み込む人がいる? それより本の中身でしょ 中身で勝負ね あんたそのもので 「前へ」 ふと肩越しに振り向けば そこにはもう後がない だけど大丈夫 ここから下がるつもりはないから 得体の知れない不安など 軽くかわして相手にするな そんなものを抱え込むために ここにいるわけじゃないから ぐっと足裏に力をこめて 前だけ向いて走り出す まだまだいけると 進む自分が糧になる             「名前を捨てれば」                          モノサシと呼ばれるものを持っている             その使い方は             たいがいみんな1つにおちつくけど             ワタシはいまだにあの使い方をしてる             名前を知らなければ             名前に縛られなければ             何物にでもなれるから             捨ててみない?             そのうすっぺらなやつを 「オマケ」 血にも肉にもなりゃしない キャラメルのおまけは 箱の中に何が入っているかわからない あのころはそれに一喜一憂 でも オマケだから 何が出たってもうけもの そう思えたら ムダ遣いもしなくてよかったのにな そう 命というキャラメルがあるんだから オマケに騒ぎなさんなよ なにが出たってもうけもの いくらだって楽しめるさ                「地下鉄の忘れ物」                                  あたしとあんたは全然違う                 顔だって見たくもないのに                 なぜか毎日会うハメになって                 息つく暇なくイライラしてた                                  わざとなの                 ねえそれわざとなの                 と                 突き放して追い詰めて                 私のイライラ消そうとしたけど                 あんたが転んでいるとこは                 わたしが昔いたところ                 忘れ物をしたまんま                 見つからないよと決め込んで                 穴にフタして忘れたところ                                  あんたがいなくなったから                 あんたが開けたその穴に                 わたしはも一度もぐるだろう                 あんたが忘れ物になる前に                 闇に消えていく前に 「評価されるということ」 点数はいらない つけてくれてもいいけど あんまり気にしないから ひょうしぬけするかもしれないね ご褒美もいらない そのためにつくったんじゃないし もらう必要もないから むしろほうっておいてもらいたいかな したいことしてるから できてるから あたらしいものをもらうことに あんまりこだわらないんだよね でもちょっとおもしろくもあったから いいんじゃないかな あなたもたのしくできるなら ぎこちなくじゃなく自由にできるなら 「存在意義なんてなくても」 たとえば あした わたしが急にえらくなったり 全然別のわたしになることなんてない きょうからあしたへ わたしはつながっている きのうのわたしを きょうのわたしは否定しないから きのうのわたしを全部知っている きのうのわたしを全部受けとめる そのわたしが否定しないから あしたのわたしも きょうのわたしを否定しない だからひとりで おやすみといって眠れるよ 「ぼくはここにいた」 空白の時間があったのではなく 空白に見える時間があっただけ ただいまと言おうとして 自分がずっと ちゃんと ここにいたことに気付く そして人生は続いていく 自分の身の丈をはるかに超える絶望や 引きずられるままだった自殺願望も もう動かない遺跡になり 今日の風 明日の風に 徐々に砂へと変えられてゆく そして見えた笑顔の下地が また少し厚く 強くなっていることに 僕は勇気づけられ うなずいた
「低温やけど」 めんどくさいし わかりにくいよ 生きてくことは この街じゃ ちょっと歩いたら すっきりしないことにつまづいてしまう つまづきたくなければ 独り 金魚ばちの中でじっとしているしかない 何も見ようとしない その瞳は 何に守られてるの 頑ななまぶたが作り出した闇は あなたの望んだぬくもりをくれるの? 低温やけどを患ったまま あの温もりを忘れていくの? あの人はどうやってあのぬくもりを宿したのか 今日 少しあのころを思ってみない? 「あした」 悪い結果がおきるかもしれないと思っていると その思いが 悪い結果を呼び寄せてしまう 「ほら、やっぱり」とつぶやいてしまう 良い結果も 悪い結果も ただの結果 そんなものにふりまわされて その過程を充実したものにすることを忘れないで 自分の気持ちと ともに時間を過ごす相手を 大事にすることを忘れなければ 完璧でなくても どこか「いい日」な 明日はくるよ 「元気のもと」 元気のもとは 世界の全てを 素直に受けとめられることだろう 空は 青くても低くても 高くても暗くても 空だと 思えるような心でいることだと思う 何からも目を背けず 何からも何かを得られる そんな心が元気のもとだと思う 世界を覆うヴェールをとりはらい 気持ちのいい目覚めのように 世界をまっすぐに感じられるように それから続く 気持ちのいい眠りのように 世界を全て受け入れられるように 全てを好きになれなくても 好きになれるかもしれないものを 嫌いになりきってしまうことが なるべく少ないといいな 「守りたいもの」 小さな恐怖に頭でおびえ 顔も知らない誰かの言ってたさばき方で手に入れた 安心 密かに抱いた勝利感 でも 手の平に感じた物足りなさ ころころともてあそべる程度の これが求める幸せ? 違う 想いの行き場はここじゃないから そっと戸棚にしまって 両の手の平を空けておこう そして いつまでも残ってゆく幸せを 喜びを いつか手に入れて 守ってゆこう そのためにこそ 命はあるのだから 「小さなプライド」 世界を 自分の小ささに見合うサイズに 無理矢理切り取って 何かから目をそらす けれど そらしきれない その大きさ 必死に逃げている 自分 その小ささ 自分に無いから そのあたたかさ 受入れられなくて 自分の小ささわかってしまうから その大きさ 受入れられなくて 背を向ける自分を それでも つつんでくれていること感じても 小さい自分の中の さらに小さいプライドが 頑なに振り向かせない 手後れになる日 それは明日かもしれないのに 「最後の笑顔に向かって」 最後の顔を 最高の笑顔にするために 妥協しない だから生ききることをぼくは選ぶ 満足できるかは 最後の瞬間の自分しかわからないから 世界にあふれるものさしをあてにせず とことんまで生ききるのさ 「よくあるハナシ」 オトギバナシを オトギバナシと片づける人々は オトギバナシを紡がずにいられなかった人の 心の叫びすら薄笑いで掃き捨てる よくある話と大人が片づける物語を 目を輝かせて聞き入る子どもがいるのにね 誰もが何も否定せず 受け入れるこころを持っていたはずなのに 自ら閉ざしていくんだね 「からっぽ男の休日」 略歴も 風貌も それはそれはたいしたことがなくて でも 何かと比べて たいしたこと とか そういうことで決め付けるものじゃないから 笑っているか 喜んでいるか 自分でわかっていれば それでいい 比べるなんて 意味がない 自分でさえ きのうとは違う 今 どうか だけでいい ほんのかすかでも 笑えていればそれでいい 「潔癖症の今」 傷 私になかったもの 無垢な心 私にあったもの 2つとも 私がいたから 手に入れ 失った 1足して 1引いて 私は変わり 変わらない 手に入れた傷口は わたしの一番強いところだ 「あせりが教えてくれたもの」 彼女の姿は ジャンヌ・ダルクのようだと 心がつぶやいた 遠く見つめた英雄の立つ場所 そこへ辿り着けはしないと決め付けた 隔絶間を抱いてのあこがれ 彼女の努力の一端を その成果の一端を見つけるとき 追いつけないと諦めたはずなのに感じるあせり 可能性に別れを告げたことにしてる 誇りもなく いらつきながら 言い訳で補った満足を守る日々 木陰に香る夏草の青さに 自分を重ねて 青さを隠さずにいたいと まだ青くいたいと 小さな疼きが 破烈の予感を脈打たせる 「迷惑をかけるだけの人がいますか」 他人に迷惑をかけないように閉じこもるより かけた迷惑の倍くらい その人を助けてあげられるように 頑張ればいい 迷惑以外の何かがこぼれおちることもあるだろうから 「成功率1パーセント」 諦めたいのかい 違うだろう 数字なんかに 気持ちをぐらつかされることはない 頑張りたいって 決まってるんだったら 「解かなくてもいい問い」 ねえ 君は 頭がいいよね だから 悩まなくていいこともあるって わかるよね 言ってあげようか あの問題に答えはないんだよ 答えが欲しければ あげてもいいけど それはニセモノかもしれないよ 君が決めてよ 何が答えか 何のために 何を悩むか 「悪あがきの資格」 すべてが終わると宣告されたときに ただ震えていたくはない 何もできなくとも せめて 毅然とその光景を見つめていたい いつわりの勇気などふりかざすことなく 起死回生の何かが 体を突き動かすとしたら 地に足つけていないと駄目だから 「道のむこう」 決して負けることのない勝負 自分がいてもいなくても変わりがない居心地の悪さ 生きていても生きていなくても 何も変わらない日々のように 勝つことなんて約束されたくない それは勝たされてるだけ 自分で切り開いた道にだけ未来はある 勝利はその向こうだ 「終末のとき」 何かを残すのなら 人の心に残そう いずれ風塵に帰す 有限な歴史書に刻まれずとも 人の心という 何にも侵されることのない場所に残せるのなら それは何より尊いのだから 「しっと」 誰かに 勝つことも 負けることも 自分にはあまり関係のないこと まず こころのままであることを求めよう やせがまんがすきなことも いや わりときらいじゃないことも それはそれでいいんじゃないかと思う 綺麗な自分がほしいわけじゃない こんがらがって 永遠にほどけそうになくても そのまま抱いてゆこう そう思える自分がいいなと思うから 「日常のリセットボタン」 たとえばあした すべてがまっしろになるかもしれない 自分がいなくなるのか 世界がなくなるのかわからないけど 今夜眠りについたその先は 何も保証などされていない 同じ世界に目覚めることも 目覚めることができるかも そんなことはないかもしれない でも あるかもしれない そのときはもう何もできない 無意味な後悔すらもできない 走り出すなら 今だよ 機を永遠に逸するかもしれないとしたら コンプレックスや疲労感に 遠慮してる場合じゃない 日常のリセットボタン 誰かに押されてしまう前に はずみで押してしまう前に 「永遠」
この世で一番大切なものは 決してなくならない 大切なものに 順番なんてないんだから 大切なものは 形が変わっても ずっと大切だから 「始まりへの旅路」
行きたいところへ辿り着いたら そこから帰る旅を始める そこへ行きたいと思った 理由のあるあの場所へ 自分にしかできないことを 成し遂げるために