ROOM102



世界という水がめから流れ出た水が 私専用の蛇口から日常となって降り注ぐけれど 私は裏返しになったコップのようで 内に何かを湛えることができない 体の外を流れる水は 私が乾くことを防ぐかに見えるけれど 私の内側はかえって乾きを覚える いずれコップの底は 内側からひび割れ 何も満たすことのできない体へと変わるだろう すでに世界は 日常は 壊れているのかもしれない いつから自分が裏返ったのかは覚えていないが それは私なりの 少しでも長く 生きようとする術だったのかもしれない 右の翼を左の翼が憎むとしたら その鳥は旅を終えるしかない 前を見すえていたはずの瞳が 今を過去に 未来を今に縛り付ける 片翼だけでは越えられぬ頂き 何も思わず越えてきた軌跡を ただ一瞬で 永遠に失うのか 拙く か弱い片翼を蔑み それがまさに自らであることに気付きもせず ただ己の狭量さゆえに 片翼を弱きものと切り捨て 蔑みの目で打ち続ける片翼よ いつかの眼差しは ただ温かく片翼を見ていたことを もはや思いもせず かけがえのない片翼が 何も問わずに羽ばたいてくれたことを もはや憶えもせず

あの人のこと わかってあげたい けど わかりたくない そんな自分にがっかりしてる 変えられるのは 相手じゃなく 相手を見つめてる自分のメガネだけ いやなことが見えないメガネは だいじなことが見えないメガネ どんどん視力も落ちていく 悲しい気持ちは あなたを悲しみにうずめるためじゃなくて あなたが悲しみに向き合うためにあるのだから 悲しみのパズルをきちんと見つめて 自分のことばで小さな思い出に解体しよう 泡雪のように溶かしてしまおう そうしないと しあわせの指定席が空かないから しあわせはいつも遠慮がちだから ドアを叩けないで                     待ちぼうけをしちゃうから 失うことで見える 平凡だった日常が 幾重にも積み重ねられた かけがえのなき高みであったこと あたりまえに行けた街角が 遥か遠くになってしまったとき 憧れの地に変わる なぜ 愛してる と いえなかったのだろう 始まりの場所 つきつめた気持ち そこに帰れば ぜいたくな今の自分が見える そっけない態度も キャンセルになった予定も 始まりの前には 心ときめいていたものだと気付く いつまでも 歩き始めた気持ちに帰る道をわかっていたい ここにいること それが望むすべてだったあのころを 彼女だけ傷つける 心を刺す棘 僕が盾になることはできない だったらせめて その涙をつつむハンカチになろう 止まらない涙なら 永遠によりそっていよう 震える心をだきとめる大きな毛布になろう 止まらない震えなら 永遠にだきしめていよう 無力だけど 役たたずだけど そばにいよう 上には未来 落ちているのは息づく瞬間 底には思い出 あの人との時間の詰まった砂時計 あのころを懐かしんで 未来のあった最初から もう一度懐かしむことはできても 新たな砂を足すことはできない それはもう閉ざされた時間だから 引越しのたびに何故か連れてきている茶色いカバーの文庫本とともに 戸棚の奥で眠っているだけ 今の私の砂時計 まだ少ない思い出 零れ落ちる今 あなたが足してくれる未来 ガラスの底は 大地のように果てしなく広く 見上げる空のように 上の蓋などなくて 零れる砂にこの手で触れ 流れる時を見つめている 閉ったガレージ 再び開くまで12時間を要する仕事場の軒先で 携帯電話を見つめている ぼんやり光る液晶画面 ほんの数行の文字と数字が いまのわたしには全て 電話をかけてる時間より 思いを馳せてる時間の方が もどかしいけど 穏やかな時間 けんかをすることもない 別れを切り出されることもない ひとりで ふたりのつもりになって 崩れない幸せに ひたっていられる それだけでいい これだけでいい いつも 多分 期待外れなわたしだから 打てど響かぬ楽器のように 何人が触れようとも 何も変わらない そしていずれ 誰もが気にも留めず歩き去る 路傍の石となる 絶望の虜となり 拒絶することで心を守ること あなたがそれを選んだとしても わたしは愛することをやめないよ あなたが望むような 絶望を消し去る奇跡は起こせなくても 想いを抱いて あなたの側で日々を刻むよ それしかできなくて それしかしたくないから あなたの心の真正面 絶望が居座る席に ムリヤリわたしは割り込むよ わたしがそいつより少しでも あなたにとってのうっとうしさで上回るまで 居座り続けて あなたの心の特等席を奪ってみせる 絶望なんかでココロを支えないで わたしがそこにいることで わずかでも絶望が薄まるのなら そこにずっといるから あたたかい夢の中 記憶につながらない女性 自分より年下のように笑う 草の海を流れる風のように 歩き回っているだけ デートなのかもしれない 楽しいので そのコも笑っているので いいなと思う 最後のあたりで 楽しいよ と また遊ぼうよ と 言いたいと思ってる 言おうと思ってる それは 好き という言葉で表せない 気持ちのように思えて でも言えずに夢は終わった いつか正夢にするためかもと思いつつ 僕は現実を口にした おまえがいたこと しゃべったこと やったこと そして 最後の鈍い笑顔 それが全て どうしようもないくらいの悲しみに変わってしまって オレの中を 見たこともない激しい嵐のように吹きすさび オレはこころを全てはぎとられそうなくらい打ちのめされていた けれど 涙が出るんだよ おまえを思い出すんだよ あのとき 悲しみに押しつぶされるのを怖れて 逃げ出しそうになった 弱いはずのおれのこころはなくならなかったよ おまえは いなくなっていない おまえはここにいるよ おれも ここいいるよ おれとおまえは ここにいるよ ずっとずっとここにいるよ わからなかったんだ もう つらいことしか残っていないはずのおまえから 離れられないのは どうしてなんだろうって おまえは 悲しみだけじゃなくて ぬくもりをくれたんだな おまえがそれを残してくれたから おれはここにいられたんだな おれはこの悲しみを抱きしめて あたたかな悲しみを抱きしめて 悲しみに抱きしめられる明日をいとおしく感じて 生きていくよ 鈍いけれど きらめいていた おまえのすべてがこめられた おまえが最後にくれた笑顔に 追いついてみせるからな たぶん 泣きながらだろうけど それだけはかんべんしてくれよな そうだ それからな いつか おまえを連れてっちまった運命のやろうに会うことがあったら おまえのかわりに「残念でした」 って言っといてやるよ 「おまえはまだここにいる」って 胸をはってな わずかに夕焼けの残る帰りの電車 気付けば右隣に 君が 偶然の嬉しさに出会っても 見つめることは恥ずかしくて 返される視線 勝手に想像して チラリともその顔を見られない だから見ていた向いの窓に 君の寝顔が咲いていた ならば視線をこわがらず すぐに横を向けるのに 僕はそのまま窓を見てる そう 僕はこれを見ていたい 君の隣に僕がいる風景を ほんの少し許されたこの刹那だけ 恋愛運は「最悪」がいい 来週も再来週も ずっと「最悪」がいい 何もできずに 何も変われずに 傷つくこと怖がってるだけの私だから 頭のいい奴が なんと言おうと 意味がないと言われようと 僕は走り続ける 傷つき 泣きながら 走り続ける 奇跡だって起こしてやる たとえ起こせなかったとしても 最後まで走りぬく 呆然と立ち尽くしていても 誰かを責めることと 自分を責めること繰り返すだけ その果てには ぬけがらのような悲しみしか残らないから ハッピーエンドになれなくても 最後にあいつが笑えるように 走り続けるよ 上手に なんて言ってみても 成長しなくちゃって 言ってみても 恋ってさ あせっても 意味ないから ちゃんと自分をみつめよう 駄目になるかもしれないけれど 人を愛する その気持ちの芽吹きを大切にして 愛せることを幸せと感じて まだ 生きていこう 永遠に止まらない涙はないから ちかくに住んでる そんなこと 意味ないって 思うよ 他人のことなら 自慢にならない自慢話なら でも 自分のことだと 彼女のことだと あいつのことだと ちかくに住んでる それだけで こんなに 意味なくあせる 自意識過剰の トライアングル あいつの方がぼくより少しだけ 彼女の家の ちかくに住んでる 離れたくない愛(いと)おしさが またあした って言えるいとおしさに成長してゆければ 1日中 何もせずにぽけーっとしていても とんでもない事件が起きて 疲れ果てるまで駆けずり回ることになっても ぼくはきっと そのあと 幸せを感じているだろう これは僕が求め続ける 絆 なのだから この想いを抱いて あなたの歩む道のすみ じゃまにならないうように 私はじっと待っています あなたが返事をくれるまで あなたがズルをしないと 勝手に信じて ズルをされたら あきらめて 少し泣いて 笑うから 日常もまた奇跡にできる 恋人がいる いない 想う人がいる いない それがすべてじゃないけど 一つ小さな幸せがあったとして それを二人で感じあえたら ケーキはわけると半分になるけど 幸せはいくつにわけても減りはしない 彼女の笑顔を見られる 幸せさえ生み出す ある晴れた休日 一人の自由な時間 それに負けないくらいの いや それ以上に 奇跡を生み出せる可能性 そんなワクワクが 2人なら生まれる あなたがこわい のは あなた自身がこわいのじゃなくて あなたの後ろに何もみえないほどの ヴェールがかかっているから 見えている怖さより 見えない怖さに 不安がよりそう 出会いの奇跡 想われている奇跡 想いが続く奇跡 奇跡の季節は いつか過ぎゆくものなれど 今ならまだ 僕に起こせる奇跡もあるだろう あなたの笑顔 その成立過程にある 誰にも知られることのない 弱音と泣き顔 軽々と生きて行くためには 話しても仕方のないことがある でも なかったことにはできないよね その時間をあらためて抱きとめることで あなたをを支えてあげられるかなと思うんだ 弱音をひけらかさないと決めたその気高さ その裏にある脆(もろ)く危うい かもしれない あなたのこころ とり越し苦労でもいいから 支えようと試みるんだ 流れ星 流れた後に 「秘密」だなんてウソをついた 願いをかける君の横顔を見つめて また 共に願えることを 星も見ずに祈ってたのに いつまでたっても飼い慣らせない 私の中の意外な猛獣 恋心 牙はないけど 首輪がするりと外れやすくて 暴れ回って 振りまわして 結局主が あーあとため息 餌を与えないで下さいとは いうのもやはり 主としては寂しくて 自分であげられる 安心できる 市販の餌じゃ 満足できないのはわかってるからね おまえと並んで走り回ることで 心躍ることもあるうちは つきあっていきたいから よろしくたのむよ 恋心 あなたがそこに現れると すべての風景は 背景になる わたしの道がおもしろくないのは わたしのやり方のせいにしていいけど わたしの道をおもしろそうだと ちょっとでも思ったのは あなたの責任 あなたの決心で助手席に乗ったのだから文句言わないように あなたがいなくなったとき 闇はその濃さを増したのに 夜が すっと 薄くなった あなたに贈ることばは 作り置きができません あなたの顔を見て つい視線をそらしてしまうことも含めて 浮かんだ気持ち が ぎこちなくても かしこまることも かっこつけることもない いちばん 自分らしいことばだと思うから たとえば またね って 心から言えたら それで いいんです 君が言う 行ってくるね の中で バイト行ってくるね が 一番切なかった 700円そこらの時給に 君との時間を奪われてしまうことが 君の時間が 僕の知らない時間になってしまうことが 切なかった 編みかけてあきらめたんだと思う あのマフラーらしきもの ぼくに何を買ってくれるより 君が編む姿を見ていたかった 手作りのプレゼントを 誰かに贈ろうとするとき つくりおわって散らかった机の上に もう一つのプレゼントが生まれるんだ 何日も考えて 何日もがんばって ちょっと不格好かもしれないけど つくりあげたプレゼント あくる日にはもう ぼくの机の上からいなくなったけど つくっているときにかんがえてたことは いまでもちゃんとのこっているよ それはきみがぼくにくれたプレゼント ありがとうって きみが言ってくれる前に ぼくはねむりかけながらつぶやいてた 空耳と思えず テレビの音を消し 間抜けになポーズで 物音立てないようにするのが これで3回目 待ってしまってる 聞き慣れたバイクの音 あーあ あたしの負けだから はやく来なさいよ なにもいらない けど あいしてるって 言っていいよ わたしは言わないけど こんなこと言っていいのは あなただけなんだから たまには言いなさいよね 小犬なんかと遊んでないで あの人から 思いがけず届いた手紙 そのなにげなさと 自分の意識過剰 温度の差が二読目を押し止めさせる 文面を そっとそっと 頭の中でなぞってみるのでせいいっぱい 脳裏にうかぶその顔と声 なにげないことばの並びなのに もんどうむようにこころぐらぐら かなわないものをみつけた朝 返事を出すのに いったいどれくらいかかるだろう 今日から 一日が長くなりそうだ おっきな傘 嵐からまもってくれるときも たよりがいがあってすきだけど 天気予報を律義に信用してしまった日 所在なさげで 居眠りしたふりして ときどき西の空をみてる彼も すきだな 僕の見た空は 君の見るそらとはちがうだろうけど 僕が見たそらへ 君をつれていきたいな そこできみが きみのつばさで きみのそらをみられるといいな そら(風景)はひとつだけど きみが きみのつばさでとべば きみは きみだけのそら(風景)にであえるから ぼくはぼくがであったすてきなそら(風景) の場所のめじるしをおしえてあげるよ ぼくがきみに 「ときり」としたのは きみの涙がとてもいとおしかったから だれかのことで 自分のためじゃなく 涙をながせるきみを そのちいさな肩を ただ だきしめてあげたいと 僕も自分のためじゃなく そう思ったから 少しぎこちない 少し照れくさい けれど 朝日がのぼるように 君の笑顔をよびおこす そんな始まりの笑顔を 僕は持ちたい さよならのはじまり 彼女が思い出になる前になんて 微熱の季節をすごしてた 目を開けずに追いかけてたあのころ 今 腰を下ろして わかるまでみつめて 言葉になりきれなかった想いが 言葉という形を得て 言葉を越えていく 温度でしかなかった彼女が 言葉にできる「彼女」になって 心にはそれを見つめる僕がいる うれしくて うれしくて うれしいのに 涙がしゃしゃりでてきてしまう 見せたくない人にみせてしまう 心配かけてくないのにみせてしまう あの人が肩に手をおいて がんばれよって 言ってくれるのが わかるから やさしい人だって わかってるのに もう いいのに でしゃばり おせっかい ばか でも やっぱり ばか ばか ありがと 遥かな道をゆくときに 右足をかばうと左足が痛み 左足をかばうと右足が痛む 何かをかばうから痛みを伴うんだね 痛くても 誰にも 何にも 心とがらせない それには意味がないこと わかったから ただ頭痛がひどくなるだけだって わかったから 痛みは誰かを憎むためじゃなくて 何かをかばう自分の中のやさしさを 教えてくれるためにあるんじゃないだろうか     「一番どうでもいいこと」なんて 心の隅に放り投げてるふりをして メインストリートを工事中にしてしまっている 彼女が誰を好きかなんて そんなことが 僕の心の中の1番だなんて なんてあやふや そんなこと 多分 聞けばいい いままでのこと 全部忘れて   大した男じゃないくせに 彼女にだけは妙に大きくありたくて 背伸びする気持ちが あるはずのないブースターになって スリップ寸前のダッシュで走る さも それが まだまだ余裕があるかのように 心臓からの抗議すらエネルギーにして 高く 高く 跳ぶ ようやくサマになったけど いつのまにか彼女も大きくなってた 望んだはずのことだけど がんばる姿が誇りの僕に 彼女の空が遠く思えた その名前を知らなかったら こんなに気持ちは急がなかったんだろうか 誰にせかされてるわけじゃなく くるくる向きを変える風のなか のったことのないスケボーなんかに乗って けんめいにバランスをとろうとしてる 何度も転ぶのに いつまでも捨てられず いつ終わるともしれない 必死の足踏み 歩き方がわからない 近づく歩き方がわからない あなた と 夢 に 彼女の気持ちを大切にしているつもりで 彼女に全ての責任を負わせている やさしくされたら やさしくしてくれる人に伝えたいホントの気持ちが 心の中で 「わがまま」になってしまうから そして 「わがまま」にされた気持ちは逃げ場をなくし 一人で震え続ける それでも僕は何の悪意もなく 震える気持ちを 残酷な笑顔でつつむのだろうか 逃げる 避けるために逃げる 逃げたくて逃げる でも 逃げたくて逃げるわけじゃなく どうしたいのかもわからなくて 逃げ出してしまうときもある そんなとき 逃げちゃダメだなんて言わずに 逃がしてあげる そして どこまでも追いかけて 絶対にひとりにしない だから 逃げてもいいよ だいじょうぶだよ この胸の ずっと奥の方で 彼女の微笑む音がする 好感以上愛情未満 そんな言葉じゃ表せない想いもある たとえば 想う前の想い 誰かの想いに応えるときの想い これが恋愛感情なのかと考えることは 自分の決めた恋愛の定義に当てはまらないものを切り捨てることになる 「愛してる」とか「好き」だとか ひとりごとで口にしなくちゃ決められないことじゃない そうすることが必要なわけじゃない 好きだと想う前にはなにも無いわけじゃない 好きだと思ったその時から恋愛は始まるわけじゃない 好きだって思いでいっぱいになることだけが恋愛じゃない 「好き」になりきれない「好き」って想いがあるから その想いを感じて応えること そんな始まりをする恋愛もある それが「natural」