アカネへ 

おまえがいたこと
しゃべったこと
やったこと
食べたもの
キノコ
そして 最後の鈍い笑顔

それが全て
どうしようもないくらいの悲しみに変わってしまって
俺の中を
見たこともない激しい嵐のように吹きすさび
俺はこころを全てはぎとられそうなくらい打ちのめされていた

けれど

涙が出るんだよ
おまえを思い出すんだよ
あのとき
悲しみに押しつぶされるのを怖れて
逃げ出しそうになった
弱いはずの俺のこころはなくならなかったよ

おまえは
いなくなっていない
おまえはここにいるよ
俺も
ここいいるよ
俺とおまえは
ここにいるよ
ずっとずっとここにいるよ おまえは
かなしみだけじゃなくて
ぬくもりをくれたんだな

わからなかったんだ
もう
つらいことしか残っていないはずのおまえから
はなれられないのは
どうしてなんだろうって

それをおまえが残してくれたから
俺はここにいられたんだな

俺はこの悲しみを抱きしめて
あたたかな悲しみを抱きしめて
悲しみに抱きしめられるあしたをいとおしく感じて
生きていくよ

鈍いけれど
きらめいていた
おまえのすべてがこめられた
おまえが最後にくれた笑顔に
追いついてみせるからな
たぶん
泣きながらだろうけど
それだけはかんべんしてくれよな

そうだ
それからな
いつか神のやろうに会うことがあったら
おまえのかわりに「残念でした」
って言っといてやるよ
「おまえはまだここにいる」って
胸をはってな


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