放課後の遺言状
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数日後。
「うぅぅぅ、ごめんなさいです。失敗しましたぁ、、、、先輩に頼まれたってことをちょっと口にしたら急にどこかに行っちゃったんですぅぅ、、、、」
涼風さんへのスカウト作戦の経過報告を申し訳なさそうにする由紀ちゃんを「もともと無理なお願いだったんだから」「ありがとう」と、なだめ、部活へと送り出した。当然とも言える、お願いした張本人が直前にあんなことをやってしまったのだから。しかし、僕が用意しているの最後の手段を使う決心がこれでついた。
一人になっていつものように考えごとを始めた。
身近な人の死。
僕には祖母がいた。いや、おばあちゃんという方がしっくりくる。その単語から思い出すのは母方のおばあちゃんだ。
小さいころに甘えていた思い出は多いのだが、中学生くらいからあまり話をしなくなった。
おばあちゃんが死んでしまった日、それは高校受験当日だった。
お葬式の日、試験の出来なんか考えられないくらいおばあちゃんの「死」が僕の頭にもやをかけていたことを
憶えている。それからしばらく、途切れていたおばあちゃんとの時間が言いようのない後悔となり、合格発表よりも心をいっそう重くしていた。
大切なひとが自分より先に死んでしまうこともありうる、ことばを残すせないでお礼も言えずに別れてしまうことになる人もいる。あんな思いは、もうしたくない。
涼風さんが図書館に現れた。
僕を見つけると
「今日、松原さんに図書委員をやってみないって誘われました。あなたが松原さんにお願いしたって聞きました」
と切り出してきた。
「どういうおつもりかはわかりませんが、誰かとつながりを持ってしまうとまた遺言に書くことが増えてしまいます。それって重たいんです、、、もうこれ以上何もいりませんから、、、。私、、、一人の方が楽なんです。もう、放っておいてくれませんか、、、。」
全てを拒否するような口調に僕は不動の姿勢で応えた。
そして極めて静かに
「わかりました。」
と告げた。
「それじゃ、これで、、、」
「ちょっと待って!」
すぐに出て行こうとする彼女を僕はカウンターに乗り出すようにして呼び止めた、そして
「最後のお願いがあるんだ。これを受け取ってくれないかな」
と言って和紙につつんだ一枚の便箋を彼女に差し出した。
「最後、、、?」
怪訝そうな表情で彼女は僕をみつめ、便箋に視線を移した。
「、、、何ですか?、、、これ」
最大級の真剣さをこめて僕は言った。
「読んで、、、もらいたい」