11.

俺は外の空気を吸わせるためにガキを家の外へと連れ出した。
風の通りのいい場所を見つけ、木の幹にもたれさせるようにして寝かせた。
「どうだ?外の空気はいいだろ?」
「はい!!」
汗はかいているが、声に少し張りが出たような気がする。
少々ムリのある笑顔だが、家の中にいるより気分がいいのは確かなようだ。
「特にここらは空気がいいからなぁ」
目を細めて俺はつぶやいた。
「そうですね……ここの空気を吸うと、孤児院なんかに帰りたくなくなっちゃいますよ…」
呼吸も徐々に落ち着いてきている。
「そっか……」
「……」
俺は、決心をした。
「……なあ」
「はい?」
俺の言葉の出方がいつもと違うことを感じ取ったのか、ムリして作っていただろう笑顔が消えた。
「あの……さ」
「……」
多少ボーっとしながら、緊張とも不安ともとれる面持ちで俺を見ているガキに、俺は切り出した。
「別に……帰りたくないんだったら…好きなだけここにいて……いいぞ?」
「ほ……本当…ですか?」
苦しさのためか表情が大きく動くことはないが、ガキの顔の筋肉のこわばりが取れたように思えた。
「……ああ」
「……で、でも…」
「1度町に帰って着替えだけ持ってくればいいよ」
何かまた俺のことを気遣おうとした言葉を遮り、これはもう決まったことだ!もう動かさない、という勢いで俺は続けた。
「そんで、お前が寝るベッドを作ろう。俺は芝が好きだから…地面が好きだから、いらないけどさ…お前はベッドのほうがいいだろ?作ってやるよ」
「そんで、今度は朝からずーっとキノコを採りに行こうぜ?」
「道具を作って、鹿を狩ってもいい、熊を倒すのは……無理かもしれないけど…」
俺は自分の中にある、数少ないガキが喜びそうなことをすべてかなえてやりたいと一気にしゃべりきった。
その日々を思ったら、俺の顔にもこの上ない笑顔が、心躍るような気持ちとともに浮かんでいた。
「なっ?きっと、すげー楽しいぜ?」
振り返り、覗き込むと、ガキは目を閉じたままぽろぽろと大粒の涙を流していた。
「あ……あ、り…が…と……」
「お、おいっ!泣くなってば!!」
「……う、嬉しくて……」
涙は止まらない。
俺はオロオロしつつ、焦りつつ、でも自分の思いが気にしていたことがくだらないものだとわかり、満たされた気持ちになっていくのを感じていた。


その刹那

<ダ―――――――――――――ン!!!!!!>



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