その6

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本を「借りない」日:本のリサイクル


本のリサイクル。
実はこんな催しがあることを知ったのはほんの2年前、 とあるメーリングリストでのことなのだが密かに羨ましい なと思っていた。

そのMLの主催者の方の言である 「買った本は読まないので 読んだ本だけ買おう」 に共感し、実践を試みている私としては 「読んだ本で買おうと思っていたものが 無料で手に入る(かもしれない)」 チャンスであり、願っても無い機会であるので有休とってまで行こうと決意し、 図書館でチラシを見た瞬間から仕事の計画を立てたのである。 しかし、主に東京の区立図書館などの大都市の図書館で行われるイベント の様子を伝えるメールの文面は、 私に膨大な量の本がこれまた膨大な人数の本好き たちによって激しく奪い合われるといった光景を描かせ、 あたかもバーゲンセールの目玉商品のカゴの前を連想させた。 ゆえに妙な戦闘意識の発現による高揚感を抱きつつ眠りについたのだった。

当日。 色々とアクシデントがあったため 「ひょっとして既にすごい行列できてるかなぁ」との 不安を抱きつつ自転車をとばす。 10時開館のところ9時という時刻に到着。 自分よりも早く来ていたのは子ども(3〜5歳くらい)連れ の専業主婦と思しき方々5人くらい。会話にそっと耳をそばだてると
「どこそこのリサイクルはもっと早くから行列が、、、」
「この間の原稿のことだけど、、、」
どうやら絵本作りのお母さんのサークルのようだ。 あちこちのリサイクルの話に花がさいている。 リサイクル初参加の自分としては興味津々で聞いていたが 徐々に人も集まって来たので夏休みにできる列の要領で列の 流れを作ろうと周りを見る
と
並び方のマナーが以上に悪い、いや、これは列ではない 秩序なく我先にとドアの開く地点へレミングのように殺到している。 見た感じでは夏休みの学生さんよりも 人数も多く、年齢も高い年齢層は 30〜40代の女性 定年すぎくらいの高齢者の方々。 大学生くらいの若者。 これが平日の利用者層なのだなぁと思いつつも 「何故に並ばないのだろう、、、」 との思いが浮かぶ。
もう「わしゃわしゃ」「うぞうぞ」といった感じで入り口の まだロックの外れていない自動ドアの前に群がるのである。 夏休みの行列はそれでも暗黙のルールがある整然としたものだったのだなあ と遠い目をしつつ 「あの、列をつくりませんか、入るときも混雑して危ないですし 入り口の点字ブロックも踏んでしまってますし、、、」
と言ってみるとさずがに年長者の方々、すぐに列ができた。 なら何故最初から列にならないのかなぁと思いつつ、 言いだしっぺとして列の最後尾につく (でないと納得しない人がいると思われたので)。

約10分後、ドアは開き整然と列が動きだ、、、さない やはり走るのだ、みなさん。
「走らないでくださーい」
夏の日の光景がデジャヴとなって呼び起こされる。そして ため息を押し留めることもかなわずゆっくりとドアを くぐったのだった。

まあ、そんなこんなで適度に本を選び満足して持ち帰った。 そして早速当日に興味のあった順番に数冊読んだ。

しかし「いつでも読める本」となった彼らに待っていたのは 「後回し」という申し訳ない運命であった。 考えてみれば毎回ぎりぎり読み切れるだけの 本を借りているわけだからそうそう腰を据えて 他の本に手を出せる余裕などあるはずもない。 書店で雑誌をめくるのとはわけが違う。 それに、借りた本を返した後、ふと宝の山である書棚を前に すると自宅の本棚に置かれている彼らのことがいつのまにか 忘れ去られてしまう。

結果として消化しきれずに今もまだ本棚に並んでいる本がある 心が痛む。今も背中に視線を感じる。 ちくちく。
いや、針よりも剣のイメージが近い、 ざくざく。
本棚に収めているのはせめて押し入れの肥やしにしまいという 罪悪感からの思いがどこかにあるからだろうが、プレッシャーである。

最近、2回目が開催された。 無茶苦茶な希望者数であった。 職員が数人で列の整理にあたり、混雑防止のために 時間を区切って入れ替え制にして対応していた。 昼食をとって戻ってきても列は終わらず (15分入れ替えで3時間経っても絶えないということ)、 並ばなくて正解と思いつつ、ゆっくりと借りる本を選んだのだった。


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